1804年アメリカ大統領選挙
1804年12月4日までの法定の34日間の窓(1804年11月1日から12月4日)で選挙人が任命・選出された大統領選挙。この回は合衆国憲法修正第12条(1804年9月25日に批准成立)のもとで初めて実施された選挙であり、選挙人が大統領候補と副大統領候補に別々の票を投じる制度に変わった最初の回である(1800年までは選挙人が2票とも大統領候補に投じ、最多得票者が大統領、次点が副大統領になる制度だった)。選挙人団では、現職大統領で民主共和党のトーマス・ジェファーソンが選挙人票162、連邦党のチャールズ・コーツワース・ピンクニーが選挙人票14を獲得し、ジェファーソンが圧勝で再選した。この回の選挙人総数は176、過半数は89。副大統領は同じ選挙人団の別の投票でジョージ・クリントン(民主共和党・162票)がルーファス・キング(連邦党・14票)を破って選出されたが、本サイトの候補者表は1804年以降の副大統領選挙の結果を収録しない方針であり(副大統領は別の選挙人投票で選ばれるため)、ここでは背景情報として述べるにとどめる。1804年3月1日に連邦加入したオハイオが、この回から初めて選挙人を送った(前回1800年までの16州にオハイオが加わり17州)。17州のうちコネチカット・デラウェア・ジョージア・ニューヨーク・サウスカロライナ・バーモントの6州は州議会が選挙人を選び、一般投票は行われなかった。ケンタッキー・メリーランド・マサチューセッツ・ニューハンプシャー・ニュージャージー・ノースカロライナ・オハイオ・ペンシルベニア・ロードアイランド・テネシー・バージニアの11州は住民投票で選挙人を選んだ。この時期は候補者別の全国得票という概念が実務上成立せず、NARA・米国勢調査局のいずれにもこの回の一般得票は記録されていない。
NARA(米国国立公文書館)の回次ページ(https://www.archives.gov/electoral-college/1804)は、1789〜1800年の回次ページと異なり、州別表の列見出しが「For President」(Thomas Jefferson / Charles C. Pinckney)と「For Vice-President」(George Clinton / Rufus King)に明確に分かれている。これは合衆国憲法修正第12条により大統領票と副大統領票が別の投票になった制度変更を、一次資料の表の構造自体が反映したものである。冒頭要約: President: Thomas Jefferson [Democratic-Republican] / Main Opponent: Charles C. Pinckney [Federalist] / Electoral Vote: Winner 162 / Main Opponent 14 / Total/Majority 176/89 / Vice President: George Clinton (162) / V.P. Opponent: Rufus King (14)。州別表(17州: CT, DE, GA, KY, MD, MA, NH, NJ, NY, NC, OH, PA, RI, SC, TN, VT, VA)のTotals行は176/162/14/162/14(選挙人総数/ジェファーソン/ピンクニー/クリントン/キング)であり、各州の大統領票の合計をこちらで検算したところ、ジェファーソン162・ピンクニー14(内訳: ジェファーソン=GA6 KY8 MD9 MA19 NH7 NJ8 NY19 NC14 OH3 PA20 RI4 SC10 TN5 VT6 VA24、ピンクニー=CT9 DE3 MD2)で、Totals行および州別合計(176)と完全に一致した(前回1800年のバージニア州の脱字のような矛盾は今回は発生しなかった)。副大統領票もクリントン=ジェファーソンと同じ州の合計162・キング=ピンクニーと同じ州の合計14で、各州ともに大統領票と副大統領票が完全に同じ配分だった(民主共和党の選挙人はジェファーソン・クリントンの両方に、連邦党の選挙人はピンクニー・キングの両方に投じており、事実上の「政党の名簿」どおりに投票したことが数字からも確認できる)。/米国勢調査局『Historical Statistics of the United States, Colonial Times to 1970』Part 2 Series Y79-83「Electoral and Popular Vote Cast for President, by Political Party: 1789 to 1968」(誌面1074ページ・https://www2.census.gov/library/publications/1975/compendia/hist_stats_colonial-1970/hist_stats_colonial-1970p2-chY.pdf)の1804年の行は、Number of States=17、Thomas Jefferson(Democratic-Republican)Electoral=162、C. C. Pinckney(Federalist)Electoral=14で、NARAと完全に一致した。Popular(一般得票)列は1804年の行も空欄(NARA・本ページとも一般得票の記録が無いことと整合)。同表の脚注9は「1804年の選挙より前は、各選挙人が大統領候補2名に投票し、過半数を得た最多得票者が大統領、次点が副大統領に選ばれた。この規定は、1804年9月25日の国務長官の布告により4分の3以上の州議会が批准したと宣言された合衆国憲法修正第12条によって改められた」と明記しており、1789〜1800年の行にはこの脚注番号が付くのに対し1804年の行には付いていない(=Census自身の表が、1804年を新制度の最初の回として扱っていることの独立した確認)。この記述は本シリーズがballots_per_elector=1(1804年)へ切り替える根拠と完全に整合する。/副大統領票(クリントン162・キング14)はNARAの回次ページに明記された数値をそのまま引用した参考情報であり、本ページの候補者表(candidates.tsv)には計上していない(1804年以降の副大統領は別の選挙人投票で選ばれ、本シリーズの候補者表に載せない方針のため。設計書第2-2節)。/州ごとの選挙人選出方式は、The Green Papers「By whom U.S. PRESIDENTIAL ELECTORS were appointed」(https://www.thegreenpapers.com/Hx/ByWhomElectorsWereAppointed.phtml)の州別年表と、Wikipedia英語版「1804 United States presidential election」の「Electoral College selection」節の分類表の両方で確認した。両者は完全に一致し、いずれもコネチカット・デラウェア・ジョージア・ニューヨーク・サウスカロライナ・バーモントの6州が州議会選出、残るケンタッキー・メリーランド・マサチューセッツ・ニューハンプシャー・ニュージャージー・ノースカロライナ・オハイオ・ペンシルベニア・ロードアイランド・テネシー・バージニアの11州が住民投票による選出であることを示す(Wikipedia本文も「In six states, electors were chosen by the legislature rather than by popular vote. The 11 states where electors were chosen via popular vote had widely varying restrictions on suffrage.」と明記しており、6/11の内訳も一致する)。前回1800年からの変化点は、(1) オハイオが初めて選挙人を送ったこと(住民投票)、(2) マサチューセッツ・ニューハンプシャーが1800年の議会選出から住民投票に戻ったこと(The Green Papers脚注はマサチューセッツが1800年Legislature→1804年the People→1808年Legislatureと隔回で交互に変わったことを示す)、(3) ニュージャージーが1800年までの議会選出から住民投票に変わったこと(The Green Papers「1804--the People--1808」)、(4) ペンシルベニアが1800年の議会選出から住民投票(一般得票による総取り)に戻ったこと、(5) テネシーが1796〜1800年の郡選挙人による二段階間接選出から住民投票に変わったこと、の5点である。テネシーの1804年からの変化は、The Green Papers脚注「1796 & 1800: for these Presidential Elections, the State was divided into three 'Electoral districts'...」の対象年が1796年・1800年に限られ、州別年表の1804年欄は「from 1804--the People--」に切り替わっていること、およびWikipedia分類表がテネシーを「State divided into single-member districts, with each elector chosen by the voters of that district」(住民投票)に分類していることの両方で確認した。/なお、The Green Papers本文の脚注は、1804年の選挙でニュージャージー州が女性(未婚・不動産所有者)に投票を認めていた唯一の州だったと記す(「the only Presidential Electors during the entire period for whom women could have voted anywhere in the country ... were, as it turns out, those from New Jersey re: the 1804 Presidential Election」。ニュージャージーは1807年に州法で女性・自由黒人の選挙権を剥奪した)。この点は州の選出方式の分類(住民投票)には影響しないため注記のみ。/vote_date_from=1804-11-01・vote_date=1804-12-04は、1792年連邦選挙法(act_1792)が定める「選挙人が投票する日=12月の第1水曜日」(1804年は12月5日)の34日前から1日前までという規定を、world_content.pyのlaw_basis=act_1792の検証式と同一の計算式で機械的に算出した値。
選挙人票の結果
縦線は多数派に必要な89票(総数176の過半数)。
州ごとの結果
候補者別の結果
| 候補者 | 政党 | 選挙人票 | 当落 |
|---|---|---|---|
| トーマス・ジェファーソン Thomas Jefferson1804年は合衆国憲法修正第12条のもとで初めて実施された選挙で、選挙人が大統領候補と副大統領候補に別々の票を投じた(前回1800年までは選挙人が2票とも大統領候補に投じ、最多得票者が大統領・次点が副大統領になる制度だった)。得票はNARA(米国国立公文書館・https://www.archives.gov/electoral-college/1804)の回次ページと、米国勢調査局『Historical Statistics of the United States, Colonial Times to 1970』Part 2 Series Y79-83(誌面1074ページ)の2出典で完全に一致する(ジェファーソン162・ピンクニー14、合計176=electoral_total)。党派はNARA本文が明記する「Thomas Jefferson [Democratic-Republican]」をそのまま採用した(米国勢調査局Series Yも同じくDemocratic-Republicanと明記)。副大統領は同じ選挙人団の別の投票でジョージ・クリントン(民主共和党・選挙人票162)が選ばれたが、1804年以降の副大統領選挙の結果は本サイトの候補者表に計上しない方針のため、ここには載せていない(rounds.tsvのnote・summaryを参照)。 | 民主共和党 | 162 | 当選 |
| チャールズ・コーツワース・ピンクニー Charles Cotesworth Pinckney1804年は合衆国憲法修正第12条のもとで初めて実施された選挙で、選挙人が大統領候補と副大統領候補に別々の票を投じた(前回1800年までは選挙人が2票とも大統領候補に投じ、最多得票者が大統領・次点が副大統領になる制度だった)。得票はNARA(米国国立公文書館・https://www.archives.gov/electoral-college/1804)の回次ページと、米国勢調査局『Historical Statistics of the United States, Colonial Times to 1970』Part 2 Series Y79-83(誌面1074ページ)の2出典で完全に一致する(ジェファーソン162・ピンクニー14、合計176=electoral_total)。党派はNARA本文が明記する「Charles C. Pinckney [Federalist]」をそのまま採用した(米国勢調査局Series Yも同じくFederalistと明記)。氏名はNARA・米国勢調査局とも「C. C. Pinckney」と略記するが、1800年の前例(candidates.tsv)にならいフルネーム「Charles Cotesworth Pinckney」を採用した。副大統領候補として連邦党のルーファス・キング(選挙人票14)が同じ配分で落選したが、1804年以降の副大統領選挙の結果は本サイトの候補者表に計上しない方針のため、ここには載せていない。 | 連邦党 | 14 | 落選 |
この回は州議会が選挙人を選んだ州と一般投票で選んだ州が混在しており、全国の得票集計が成り立ちません。選挙人票と州ごとの結果は収録しています。
州ごとの一覧
| 州 | 候補者 | 政党 | 得票数 | 選挙人票 |
|---|---|---|---|---|
| コネチカット州州議会など、州全体で統一的な一般投票を行わない手続きで選挙人が選ばれました。 | チャールズ・コーツワース・ピンクニー | 連邦党 | — | 9 |
| デラウェア州州議会など、州全体で統一的な一般投票を行わない手続きで選挙人が選ばれました。 | チャールズ・コーツワース・ピンクニー | 連邦党 | — | 3 |
| ジョージア州州議会など、州全体で統一的な一般投票を行わない手続きで選挙人が選ばれました。 | トーマス・ジェファーソン | 民主共和党 | — | 6 |
| ケンタッキー州 | トーマス・ジェファーソン | 民主共和党 | — | 8 |
| メリーランド州 | トーマス・ジェファーソン | 民主共和党 | — | 9 |
| メリーランド州 | チャールズ・コーツワース・ピンクニー | 連邦党 | — | 2 |
| マサチューセッツ州 | トーマス・ジェファーソン | 民主共和党 | — | 19 |
| ニューハンプシャー州 | トーマス・ジェファーソン | 民主共和党 | — | 7 |
| ニュージャージー州 | トーマス・ジェファーソン | 民主共和党 | — | 8 |
| ニューヨーク州州議会など、州全体で統一的な一般投票を行わない手続きで選挙人が選ばれました。 | トーマス・ジェファーソン | 民主共和党 | — | 19 |
| ノースカロライナ州 | トーマス・ジェファーソン | 民主共和党 | — | 14 |
| オハイオ州 | トーマス・ジェファーソン | 民主共和党 | — | 3 |
| ペンシルベニア州 | トーマス・ジェファーソン | 民主共和党 | — | 20 |
| ロードアイランド州 | トーマス・ジェファーソン | 民主共和党 | — | 4 |
| サウスカロライナ州州議会など、州全体で統一的な一般投票を行わない手続きで選挙人が選ばれました。 | トーマス・ジェファーソン | 民主共和党 | — | 10 |
| テネシー州 | トーマス・ジェファーソン | 民主共和党 | — | 5 |
| バーモント州州議会など、州全体で統一的な一般投票を行わない手続きで選挙人が選ばれました。 | トーマス・ジェファーソン | 民主共和党 | — | 6 |
| バージニア州 | トーマス・ジェファーソン | 民主共和党 | — | 24 |